PROFESSOR’S HISTORY

研究最前線

現地へ足を運び、データ分析で紐解く地方選挙と現代日本政治

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政経学部

河村 和徳 教授 KAWAMURA Kazunori

Profile

静岡県出身。1995年、慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻 修士課程修了(修士・法学)。2021年、東北大学大学院情報科学研究科 博士課程修了(博士・情報科学)。金沢大学法学部助教授、東北大学大学院情報科学研究科准教授を経て、2025年より現職。地方選挙を中心とした現代日本政治について、多岐にわたる研究を行っている。総務省や地方自治体など公的機関で委員を務めるほか、ラジオのゲストコメンテーターや新聞への寄稿など、多数メディアでも活躍している。

東日本大震災を契機に広がった研究領域

東北で活動していた研究者としての役割

私はこれまで、地方選挙を中心に現代日本政治の研究に取り組んできました。当初は「選挙における投票行動」や「政治家の行動」など、「行動」に着目した研究に重点を置いていましたが、2011年の東日本大震災が大きな転機となり、研究の幅が飛躍的に広がりました。当時、東北大学に在籍していた私は、東日本大震災学術調査を担っていた京都大学名誉教授・村松岐夫先生から、「被災地の記録は河村くんの役割だ」と指示を受けたのです。これをきっかけに、復興過程の記録、投票したくてもできない人々の問題、若者の棄権、さらには余震下での選挙運営や投票所の危機管理といった、選挙ガバナンス全体へと関心が広がっていきました。自分の研究関心に加えて、社会的要請に応える形で研究領域を拡張していきました。

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宮城県女川町での被災地調査
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福島県副知事・鈴木正晃氏と被災地学習における記念撮影(右端:本人)
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福島県浪江町の吉田栄光町長を表敬訪問

「選挙」への関心は、データ分析から

高校時代は静岡県の藤枝東高校サッカー部でキャプテンを務め、将来は教員免許を取得して高校サッカーの指導者になることを志していました。その目標を胸に、高校卒業後は慶應義塾大学法学部に進学。その頃、野球界ではヤクルトスワローズの野村克也監督が提唱した「ID野球」が注目され始め、私はデータ活用の分野に強い関心を抱くようになりました。その延長で、特に注目するようになったのが「選挙」です。当時は政治改革論議が活発で、政治学が大きく動き出した時期でもありました。入学当初はサッカー指導者をめざしていましたが、大学院進学を経て研究と教育の道を志すようになり、現在の仕事へとつながっていきました。

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全国都道府県議会デジタル化専門委員会座長として記者会見

サッカーの指導者として、スポーツ研究にも取り組む

高校時代は、朝から晩までサッカー漬けの毎日でした。自宅から高校まで片道15キロを自転車で通学していました。朝6時半に家を出て朝練に参加し、授業後は21時まで自主練習。その後、再び自宅まで自転車で帰るという日々を送っていたんです。現在もサッカーとの関わりは続いており、サッカー指導者のB級ライセンスを取得するとともに、北信越サッカー協会の裁定委員も務めています。またワールドカップやeスポーツ、スポーツと地域振興に関する研究論文を執筆するなど、サッカーをはじめとするスポーツ関連の活動も、現在、精力的に続けています。

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大井川東サッカー少年団で汗を流した日々
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ブラジルワールドカップで日本×コロンビア戦を観戦

社会安全学科の学びで必要なこと

2025年の社会安全学科開設を機に、拓殖大学に赴任することになりました。危機の現場では、「自ら判断する力」が非常に重要です。状況を見極め、自分ならどう行動するかを考える姿勢が欠かせません。2年次以降の授業では、単に知識を修得するだけでなく、「どう考えるか」を問う場面を意識的に設け、判断力を養うようにしていきたいと考えています。また、消防や警察など現場経験者の話を聞く機会も多く設けていますが、現場の知見と学問的理解の両方を行き来しながら学ぶことで、総合的に物事を捉える力を身につけてほしいと考えています。基礎である政治学・行政学・憲法を1・2年次にしっかり学び、そのうえでステップアップしていくことが重要だと思います。

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岩手県釜石市での復興政策のヒアリング
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岩手県大槌町での津波被災調査

将来につながる「出会い」をいかして

大学には、一生のうちでここでしか触れられない学びがあります。最小限の単位で卒業するのもいいですが、大学ではぜひ興味の赴くままにさまざまな授業に触れてみてください。私自身、政治学を専攻しながらキリスト教史や日本史も履修していました。民主主義の選挙制度の背景にはキリスト教の思想が関わっており、また日本史を知らなければ現在の制度を説明することはできません。当時学んだ知識は、現在の講義にも役立っています。大学は、自分の人生を豊かにする「出会いの場」です。私たち教員はチャンスを提供できますが、それをどういかすかは皆さん次第です。受け身にならず、自ら「学びたい」と思えるものを見つけ、多くの出会いと経験を大切にしてください。

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RISTEX共同研究での一枚

好奇心と使命感で動き続ける毎日

私には「休日」という感覚がほとんどありません。サッカー協会の役員としての活動に加え、講演や学会、金沢大学法科大学院の授業など、全国のあちらこちらに足を運ぶようにしています。すべて好奇心につながっているからこそ、続けられるのだと思います。スポーツと法、地域のスタジアム整備や大会誘致など、趣味と研究が自然に重なり合うこともあり、仕事とプライベートの境界はないと言ってもいいと思います。先日も金沢での自治体研修の帰路に、中津川市から投票所再編の依頼を受け、下道を車で走らせ伺いました。高速道路ではあっという間でも、それでは中山間地の実状はわかりません。ただの移動と考えるのではなく、移動も「地域を知る機会」として捉えています。好奇心と社会貢献という使命感。気分を切り替えながら動き続けることが、私の日常そのものになっています。

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鳥取県政アドバイザリースタッフとして、南部町オンライン投票の立ち会いに協力
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鳥取県町村議会議長会研修会にて講演

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