Graduates’ Journeys

拓大生の未来

日本シリーズでの決勝ホームランで、日本一に大きく貢献。苦難を乗り越え、大きく飛躍した入団4年目

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福岡ソフトバンクホークス

野村 勇 さん NOMURA Isami

Profile

兵庫県出身。小学校2年生から野球を始め、香川県藤井学園寒川高校を卒業後、拓殖大学に入学。拓殖大学野球部で腕を磨き、2019年に国際学部国際学科を卒業。その後、NTT西日本硬式野球部でプレーを続け、2022年に福岡ソフトバンクホークスに入団。今シーズンは自己最多となる126試合に出場し、打率.271、12本塁打、18盗塁といずれもキャリアハイを更新した。「SMBC日本シリーズ2025」では日本一を決める決勝ホームランを放ち、優勝に大きく貢献。さらに「ラグザス侍ジャパンシリーズ2025」のメンバーにも選出された。

 2025年、日本一に輝いた福岡ソフトバンクホークスに所属し、 「ラグザス侍ジャパンシリーズ2025」の出場メンバーにも選出された野村勇選手。飛躍の一年となった2025年を振り返りつつ、プロとなった現在にもいきている拓殖大学野球部での経験や培ってきた技術について伺いました。

 2025年は、私にとってまさに“飛躍の年”でした。入団1年目にホームラン10本、10盗塁という好成績を残したものの、2・3年目は怪我の影響もあり、思うような結果を出せずに苦しい時期を過ごしました。「活躍できなければクビになるかもしれない」という危機感を抱えながら挑んだ4年目は、チームメイトの山川穂高選手や近藤健介選手などから多くの助言をいただき、私の特徴や強みをいかしたバッティング指導を受けました。その積み重ねが今年の成績につながったと感じています。日本シリーズ第5戦では、延長11回に決勝ホームランを放ち、日本一の決定打に。追い込まれても強いスイングを意識していましたが、打った瞬間の感触は完璧で、「これは広い甲子園でも入る」と確信できる当たりでした。チームの日本一に貢献できたことは、何にも代えがたい喜びです。さらに、2025年11月の侍ジャパンシリーズでは、韓国戦のメンバーに初選出されました。アマチュア時代から代表経験がなかった私にとって、トップ選手と肩を並べて戦えたことは大きな刺激になりました。ただ、1年間だけ活躍しても意味がありません。毎年キャリアを更新し、いつかWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の代表に選ばれるよう、これからも努力を続けていきます。

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打席で構え集中する野村勇選手
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積極的なプレーでチームに貢献

「悔いが残らないようにやるべきだ」
先輩のアドバイスが大きな転機に

 2・3年目は思うような結果が出せず、特に三振の多さに悩んでいました。「バットを短く持ち、引き付けて逆方向へ打つ」という指導を受けることが多かったのですが、自分にはまったく合わず、打てなくなってしまったのです。チームメイトの山川穂高選手に相談すると、「今年打てなかったら、この先はないかもしれない。自分がやりたいようにやって、悔いを残さないようにすべきだ」と助言をいただきました。一緒に食事に行った際には、「体が強く、スピードもあるのに、なぜそんなにバットを短く持つんだ。長く持って、強い打球を打つことに専念したほうがいい」と、自分の強みをいかす助言をしてくれたんです。「確かにそうだ」と納得し、その後は具体的な練習方法まで教えていただきました。翌日は休みでしたが、早く試したくてグラウンドへ。その時も山川選手は練習に付き合ってくれ、丁寧に指導してくださいました。「今年はこれで行く。打てなかったら仕方ない」と覚悟を決めて我慢強く続けたことが、最終的に良い結果につながったと思います。

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強みを生かしたスイングで勝負に挑む野村勇選手

大学4年次、優勝決定戦で敗れた忘れられない一戦

 拓殖大学に進学した理由は、当時、チームが東都大学野球1部リーグに所属していたからです。1部リーグからは毎年多くのプロ野球選手が輩出され、私たちの代にも優れた選手が数多く在籍していました。練習で印象に残っているのは、冬の朝練です。朝5時半に起床し、八王子国際キャンパスのグラウンドを10周×3本、計30周走るメニューは本当に過酷でした。忘れられない試合は、4年生の秋季リーグ、専修大学との優勝決定戦です。途中まで大差で負けていましたが、後半は徐々に追い上げ、ツーアウト満塁の場面で逆転のチャンスが訪れました。バッターの放ったライトライナーは鋭い当たりでしたが、相手選手の奇跡的なキャッチに阻まれ、結果は7対8で敗北。当時、拓殖大学は2部リーグに所属しており、勝てば1部リーグへの入替戦に挑める状況でした。1部昇格を目標にしてきただけに、その舞台に立てなかったことは本当に悔しかったです。

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ハイタッチでチームメイトと喜びを分かち合う姿
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自分が打ったホームランボールを手に笑顔の一枚
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拓殖大学野球部の先輩・佐久間紀章さん(現:野球部副部長)との一枚
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当時の野球部仲間と楽しいひととき

大学時代に鍛えられた心と体
内田俊雄監督の教えが野球人生の礎に

 私の強みである足の速さは、大学時代に筋トレを始めたことで身につきました。私たちの代はウェイトトレーニングが好きな選手が多く、皆で一緒になって鍛えていたんです。筋力がついたことで走力が上がり、打球もより遠くへ飛ぶようになりました。当時の野球部・内田俊雄監督は、バッティングや投球フォームといった技術面だけでなく、掃除や日常生活に至るまで指導していただきました。厳しい指導も多く、反発したい気持ちもありましたが、振り返ればそのおかげで忍耐力や言葉遣いが身についたと実感しています。大学時代は自分がプロ野球選手になれるとは思っていなかったので、社会人野球をめざしていると内田監督に伝えた際には、進路のために尽力していただきました。卒業後はNTT西日本に所属し、そこでの経験がプロ野球選手への道を切り拓く転機に。内田監督のもとで野球をしていなければ、いまの自分はいなかったかもしれません。大学4年間で、心と体の土台をしっかり築くことができました。

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内田監督の指導を受ける野村選手
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堅実な守備でチームを後押し

やりたいことを実現するために、
「やりたくないこと」にも向き合って

 大学時代は野球漬けの日々でしたが、同級生とは皆仲が良く、野球部の寮でピザパーティーや鍋パーティーを楽しむ時間もありました。一方で、楽しい時間を過ごすだけでは成長にはつながりません。在学生の皆さんには、さまざまな夢や「やりたいこと」があると思います。しかし、それを実現するには「やりたくないこと」に向き合う場面も訪れるはず。私自身、プロ野球選手として活躍し続けるためには、厳しい練習を重ね、食事や体調管理にも気を配る必要があります。やるべきことをおろそかにすれば、プロの世界で長く活躍することはできません。これは、どんな夢にも共通することだと思います。やりたいことを実現するために、やりたくないことにも向き合い、忍耐強く努力を続けてほしいです。

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拓殖大学野球部の仲間たちと
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在学生へのメッセージとともにいただいたサイン
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インタビューの様子
教えて!1問1答
愛読書は何ですか?

著者:アンジェラ・ダックワース、翻訳:神崎朗子
『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』(ダイヤモンド社、2016年)

チームメイトの中村晃選手のおすすめだと聞いて読み始めました。成功する人は必ずしも天才ではなく、どれだけやり抜けたかどうか。自分自身と重ねながら読んでいます。

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休日の過ごし方は?

家族と買い物に出かけます。

最近は古着屋によく行きますが、一人での買い物が苦手なので家族に同行してもらっています(笑)。また、昨年に続き今年も優勝旅行があり、チームでハワイに行ってきました。

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笑顔でアロハポーズの野村選手

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