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好きなことに突き進めば、
新しい道を拓くことができるはず。

　私は小学生の頃から野球が大好きでした。きっかけは、全国高等学校野球選手権大会、いわゆる「夏の甲子園」です。当時の私には、高校生の選手たちが大人に見えていたのですが、そんな彼らが必死にプレーしている姿を見て、心が大きく動きました。それ以来、少しずつ野球が好きになっていき、中学生では、一人でプロ野球の球場に二軍の練習や試合を観に行くほどになりました。そして、高校生の頃には「東都大学野球リーグで活躍するチームに、マネージャーとして携わりたい」と思うように。拓殖大学第一高等学校に通っていたこともあり、拓殖大学への進学を決意しました。

　大学生活の4年間は、野球部に捧げました。私は、チーム運営や場内アナウンスを行う中で、社会人野球チームに練習試合の申し込みをするなど対外的な調整にも対応していました。電話で連絡を取ることや名刺交換をすることなど、学内外の「大人たち」とやり取りをする機会が多く、他の学生より一足先に社会人気分を味わえたことを覚えています。

　卒業後は、警備会社の事務として4年間勤務したのち、契約職員として働きました。契約更新の際には、正規の職員として働くことを提案されたのですが、同じタイミングで別の会社から「場内アナウンスのアルバイトをしてみないか」という話を持ち掛けられました。私は千載一遇のチャンスだと思い、後者を選んだのです。

　その仕事に携わってから2年ほど経った頃、会社からお話を頂いたのが、東北楽天ゴールデンイーグルスでの場内アナウンスの仕事でした。球団本拠地の宮城県に引っ越さなければならず、アルバイトから始めるという条件だったのですが、私は迷いなく引き受けることに。そこから10年経過し、現在では正社員として勤務しています。

　私が所属しているのは、チーム広報部という部署です。試合のある日には、場内アナウンスを担当しています。試合開始の5時間前から現場入りし、まずはスタッフ全員での打ち合わせを行い、試合前に行われるセレモニーなどの内容や選手たちの情報を確認。お客様の入場時間とともにアナウンス業務が開始します。そして試合中は、選手たちの名前や背番号などをお客様に正確に伝えなければいけません。イニング間には監督から審判を通して、選手交代を告げられ、正確にかつ素早くわかりやすくアナウンスを入れます。交代が多いと大変ですが、やり遂げたときには「監督や審判と一緒に、試合を動かしているんだ」というやりがいを大いに感じられます。

　この仕事を始められたこと、そして今まで続けられたのは、大学での4年間があったからだと実感しています。実は、場内アナウンスの仕事をするきっかけを作ってくれた方や、現在同じ部署で働いている上司も拓殖大学の卒業生なのです。野球部マネージャーとしての経験はもちろん、在学中の経験で、これまでの縁やつながりができ、いまの私があると考えています。

　在学生の皆さんにも、さまざまなことに興味を持ち、思い切って行動して欲しいです。私が東京での安定した生活から宮城県に引っ越し、アルバイトとして現職に携わる決意をしたのは、20代後半の頃でした。失敗したとしても、何度でもやり直せると思います。チャレンジすることを恐れず突き進めば、新しい道を拓くことができるはずです。