Graduates’ Journeys

拓大生の未来

住宅や商業施設を彩るサーフェスデザイナーの仕事

画像

TOPPAN株式会社 サーフェスデザイナー

柳川 裕太 さん YANAGAWA Yuta

Profile

2015年、工学部デザイン学科卒業後、株式会社トッパン・コスモ(現:TOPPANコスモ株式会社)に入社。住宅や商業施設などの化粧シートをデザインするサーフェスデザイナーとして勤務。翌年には、事業移管に伴い、現在のTOPPAN株式会社へ転籍。現在は、「生活・産業事業本部 環境デザイン事業部 マーケティング戦略本部 デザインクリエイション部 クリエイションチーム」に所属し、建材業界やハウジング業界で使用される内外装関連商品をはじめ、自社商材などのデザインを幅広く手がけている。

 現在、サーフェスデザイナーとして、戸建て住宅や賃貸住宅、商業施設の内装や外装に使用される化粧シートの意匠設計に携わっています。具体的には、床・建具・玄関ドアなどに用いられる木材や石材、布といった素材を自ら選定し買い付けた後、加工や塗装、スキャンを施してデザインデータを作成。その後、版を作り印刷するという、意匠設計から印刷工程の監修までを担当しています。また、海外での市場調査や分析、企画立案や柄の提案など、幅広く業務を経験できる点が、現在の職場の魅力です。こうした経験が、「説得力のあるモノづくり」につながっていると感じています。

 住宅や商業施設・オフィス・ホテルなど、さまざまな場所で自分が携わったデザインを目にする機会があるのは、この仕事の大きなやりがいのひとつです。印象的だった出来事としては、私は中学生の頃に放送されていた建築家が主人公のTVドラマを見てデザインの仕事に興味を持つようになったのですが、就職後にそのドラマの続編が放送されることに。そして、その舞台セットに自分がデザインした化粧シートが使用されていたんです。それを見たときは、本当に嬉しかったですね。

 現在注力しているのは、2025年8月にスタートした共創施設「surface park™(サーフェスパーク)」の運用です。TOPPAN建装プロダクツ株式会社 柏工場内に設置されたこの施設では、当社が約70年にわたり建装材事業で蓄積してきた数万点の素材サンプルを実際に手に取りながら、クライアントと対話を重ね、アイディアを具現化することが可能です。今後は建築業界だけでなく、家電業界など多様な分野との共創を通じて、新たな試みに挑戦していきたいと考えています。

画像
デザインデータを作成中
画像
surface park™にて素材のコーディネート風景
画像
自社フェアでの説明風景
画像
木材原稿の塗装風景

今も胸に残る先生からの言葉と、大学時代の思い出

 大学では、アイディアの構想から制作、発表までを一人で行う課題が多くありました。3人1組で強化段ボールを用いて椅子を制作する授業では、チームの意見がなかなかまとまらず苦労したことを覚えています。しかし、社会に出てから一人でモノを作る機会はほとんどなく、チームで協働することが多いため、大学時代に「共創意識」の大切さを学べたことは、とても良い経験だったと感じています。

 卒業研究では、軽量波形単板コアパネル材を使用した椅子の設計・制作に取り組みました。阿部眞理先生に何案もアイディアを出してもなかなか評価を得られず、試行錯誤の連続でしたが、ようやく提出したスケッチに対して先生が「シビれた!」と一言。その際、「波形の意匠性をうまく活かしている」と高く評価していただき、そのときの嬉しさは今でも忘れられません。

 部活動ではバレーボール部に所属していました。入部当初は先輩が数人しかおらず、活動継続が危ぶまれる状況でしたが、高校3年間の部活動経験を活かして「部活を立て直したい」と思い、2年次にキャプテンを務めました。その結果、約20人の部員が集まり、部としての体制を整えることができました。緩やかな活動ではありましたが、自ら動いて組織を再生させた経験は、今でも良い思い出です。

画像
バレーボール部の仲間と

「本物」に触れる機会を作ってほしい

 大学時代、先生によく「いいものを見に行きなさい」と言われていました。質の高いインプットを重ねることは、デザイナーとしての引き出しを増やすことにつながります。当時はその意味を深く理解できていませんでしたが、今ではその言葉の重みを実感しています。

 ネットで手軽に得られる情報と、実際に足を運んで得る体験では、得られるものがまったく違います。私は家具や雑貨が好きで、今でもよくお店を訪れていますが、皆さんもぜひ、興味のある分野で「本物」にたくさん触れて、感性を養ってください。

画像
卒業研究にて制作した波形単板コアパネル材を使用した椅子
画像
世界最大級の家具見本市「ミラノサローネ」を現地視察
教えて!1問1答
愛読書は何ですか?

深澤直人著『ふつう』(d BOOKS)

深澤さんのデザインが好きで手に取った本です。さまざまなモノやコトの「ふつう」について、深澤さんの視点で考察されています。本の装丁も素敵で、ずっと手元に置いておきたくなる一冊です。

画像
休日の過ごし方は?

家族(妻/娘/文鳥)でのんびり過ごしています。

昨年、娘が生まれたばかりなので、家族と過ごすことが多いです。最近こだわりを詰め込んだ家を建てたので、庭仕事をしながら家でのんびりしています。

画像
動くものに夢中な娘と動物園へ

関連記事 Related articles